2011年、Webコンサルタントとして独立した私は、最新のマーケティング手法をたくさん学んでいました。SEO対策、広告運用など、理論は完璧に理解していたつもりでした。クライアントに対しても自信を持って提案し、実際に施策を実行していきました。
しかし現実は厳しいものでした。確かに一時的には成果が出ることもありました。アクセスが増えたり、問い合わせが来たりすることもあったのです。
ただ、多くの場合、それが続かない。私がサポートを離れると、すぐに元の状態に戻ってしまうのです。
クライアントの多くは中小企業の経営者や担当者でした。彼らは日々の業務に追われながら、私が提案した複雑な施策を実行しようとしていました。でも、それは現実的に難しかった。「理屈は分かるけど、続けられない」という声を何度も聞きました。
私は方法論ばかりを追いかけていたことに気づきました。最新のツール、新しい理論、高度な戦略。それらは確かに効果的かもしれないけれど、クライアントにとっては負担でしかなかったのです。
転機となったのは、ある小規模事業者との出会いでした。その方は特別なことは何もしていませんでした。ただ、自分のペースでお客様とのコミュニケーションを続けていただけ。でも、その事業は着実に成長していました。
「続けられることしか、意味がない」
シンプルだけど、本質的な気づきでした。どんなに素晴らしい戦略も、実行され続けなければ成果にはつながらない。そして人は、自分の力でできることしか続けられないのです。
そこから私のアプローチは変わりました。提供するのは方法論ではなく、クライアント自身が続けられる仕組み。複雑な施策を押し付けるのではなく、その企業の実情に合わせた無理のない運用方法を一緒に考える。月1回のミーティングから始めて、少しずつできることを増やしていく。
AIツールの導入も同じ考え方です。最先端の技術を使うことが目的ではなく、クライアントの負担を減らし、継続可能な運用を実現するための手段として活用する。InstagramやブログのコンテンツをAIで効率化することで、小さな企業でも情報発信を続けられるようになりました。
変化は少しずつ現れました。以前は数ヶ月で挫折していたクライアントが、1年、2年と自分たちのペースで運用を続けられるようになった。「自分たちでできるようになりました」という言葉を聞くたびに、このアプローチが間違っていなかったと確信します。
2025年の今、私のもとには様々な中小企業の方が相談に来られます。多くの方が、大企業の成功事例に憧れ、複雑なマーケティング手法に圧倒されています。かつての私と同じように。
そんな時、私は必ず伝えます。「まず、続けられることから始めましょう」と。
14年間のコンサルティング経験で学んだのは、中小企業のWeb活用において最も大切なのは、華やかな施策ではなく地道な継続だということ。そして、その継続を可能にするのは、クライアント自身の力を信じ、その力を引き出すサポートをすることだということでした。
今日も新しいクライアントとの出会いがあります。彼らが自分たちの力で歩み続けられるよう、私は伴走者として寄り添い続けます。方法論を教える教師としてではなく、共に考え、共に成長するパートナーとして。